著作権取引市場は、コピーマートによって構築される市場です。権利者が自らの意思で自分の著作物の利用条件を設定して情報を提供し、利用者は権利者の定める条件で対価を支払って希望するデータを入手します。このような取引の場は、種々の目的のために構築され、利用されることになります。 コピーマートは、契約により著作権アウトサイド社会から著作権インサイド社会への移行を可能にする知的財産取引市場モデルです。そこには、著作権者と利用者とが直接相対して取引をする合意システムがあります。 このコピーマートにおいて、権利者がコピーマートに自己の著作物を登録し、希望する利用条件を提示しておけば、利用者が登録著作物の複製をコピーマートから入手するのと引き換えに権利者にライセンス料が支払われるので、どれほど大量であっても私権としての著作権の権利実現が個別に保証されています。また、利用者はコピーマートで著作権情報を検索し、希望する著作物の複製を即時に入手できます。さらに、マルチメディア作品の制作を企画するさいにマルチメディア制作に占める著作権コストの見積もりができます。ときに、その価格について権利者との直接交渉がコピーマートで電子的に可能となります。 コピーマートでは2つのデータベースがあります。1つは、著作権登録のための著作権マーケットであるデータベース(著作権マーケット【Copyright Market:CRM】)であり、他は著作物提供のための著作物マーケットであるデータベース(コピーマーケット【Copy Market:COM】)です。 著作権マーケットと著作物マーケットを統合するコピーマートは、その構築者であるコピーマート主宰者が管理・運用する情報サービスであり、著作権情報が登録され関係者間の交渉で自由に取引できる著作権の集中取引のためのシステムです。 この構想は、ハイテクを利用して、「著作権体制」と「技術」と「ビジネス」の三者の共存を図るシステムです。マルチメディア問題はもちろん、文献複写、私的録音・録画、コンピュータ・プログラムの複製などの問題も包含しています。もちろん、この構想がこのような問題をすべて解決するものではなく、「部分解」となるでしょう、それでも危機的な様相を呈している、私権としての著作権法制の生き残りを探る上で意義があると考えられます。 法制度に対するハイテクとビジネスの緊張関係という従来のパターンに代わり、コピー問題における3者の共生という積極的な視点が新しい情報文化の創出につながるでしょう。 コピーマートについての詳細は、下記の書籍もご覧下さい。
北川善太郎『コピーマート 情報社会の法基盤』(有斐閣,2003) 北川善太郎監修・コピーマート研究会編 『インターネットにおける著作権取引市場−コピーマート』(新世社,2003) (それぞれのサイトへと飛びます。)
利用者 コピーマートにアクセスした利用者は、ブラウジング機能で購入前に著作物のサンプルやデモ等を閲覧することができますし、また、検索機能を利用して単一もしくは複数のコピーマート上の著作物を検索することも可能です。 利用者がコンテンツを購入する場合、あらかじめ権利者から提示されている利用条件でコンテンツを購入することになります。そのとき、利用者はコピーマートの運営者ではなく直接権利者と契約を介して取り引きすることになります。 利用者があらかじめ提示されている利用条件以外の条件での利用を希望する場合は、権利者と個別に交渉を行うことも、システム上は可能です。 一方、コピーマートの主宰者・運営者は、コピーマートの運営費用を徴収するための契約を利用者と結ぶことになります。そのため、利用者は、コピーマートへのアクセス料、会費、コンテンツ購入の手数料などの形で運営費用を負担することになります。
著作権マーケット(Copyright Market:CRM)は、著作物の権利情報が蓄積されるデータベースのことです。コピーマートにおいては、著作物そのものにそれに関する情報を付与することで著作物を特定することができます。著作権マーケットに登録される「データ」は、大きく3分野に分けられます。 まず、著作者名、権利者名、著作物の種類等の著作物に関するデータです。 次に、著作物に関する権利のデータです。 最後に、コピーの販売または許諾条件ならびに支払方法と料金、またはその簡単な内容記述(音楽ならばそのテーマが聞ける、あるいは映像の一部を見せることも可能)などのブラウジング(閲覧)条件を含んだ利用のデータです。 それらの内容は権利者が自由に決めることができ、登録後もその取引条件を変更することができます。権利者は、同一の著作物に関する著作権データを、複数のコピーマートに異なる条件で登録することも可能です。 また、コピーマートはマルチ利用が可能ですが、著作物のシングル利用とマルチ利用を区別することになります。著作権のない作品も合わせてコピーマーケット(Copy Market:COM)にデジタル化しておけば利用価値は増大します。デジタル化されていないものでも著作権マーケットでアクセスできるようにしておけば、そこでヒットした作品は別途コピー・セール方式で提供することも可能です。
コピーマーケット(Copy Market:COM)は、実際の著作物のコピーを蓄積しておくデータベースのことです。 これは必ずしも著作権データベースと同じコンピュータ(サーバー)に設置されなければならないわけではありません。ここでは、それぞれの著作物に記述されている著作物情報に基づいて検索、引き出されることになります。著作権データベースがカタログ的な役割を果たしているのに対して、著作物データベースは、まさに著作物の倉庫といえます。
権利者は自由に提供条件を設定することができます。権利者によって決められた条件を埋め込まれたコンテンツが流通することになります。 コピーマートでは登録にあたって、権利者があらかじめ自分の著作権の利用条件を提示することが求められますが、登録するかどうかは権利者の自由です。 コンテンツの購入があった場合、権利者に著作権利用の対価が支払われることになります。
コピーマートの主宰者は、権利者と利用者の間の取引の場を提供します。取引の場といっても、何らかの物理的な建物ではなく、ネットワーク上の仮想の場です。コピーマートの主宰者が取引の主体になるのではなく、あくまで権利者が提供しようとするコンテンツ、利用者が欲しいコンテンツの取引の場を提供するだけにすぎません。 コピーマートの主宰者は、当事者に代わって権利処理をするものでもありません。権利処理はあくまで当事者が行うことになります。コピーマートは当事者間の権利処理をコンピュータシステムを用いて簡便・迅速にする行うための仕組みです。
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